精神科医のひとりごと

寝てるだけで時給1万? 精神科の「寝当直」バイトとは

はじめに

初めまして。精神科医の974です。今回は、精神科の医師がよくやる「当直」についてお話ししたいと思います。

「ナイト・ドクター」などのテレビドラマで知っている方も多いかもしれませんが、病院には、夜間や休日に病院の当番をする当直・日直の医師がいます。

夜中に患者さんが外来を受診したり、病棟で何かが起きたりすると、当直医が対応することになります。もちろん、精神科病床を有する精神病院でもそれは同様です。

寝当直とは

そんな精神科の当直は、「寝当直」と呼ばれることがあります。読んで字のごとく「寝て」「当直する」という仕事のことです。

もともと当直は、病院の当番役みたいな仕事ですが、科や病院によって忙しさに大きな差があります。

例えば救急診療を担っている病院の場合、内科の当直医は、救急搬送されてくるあらゆる疾患の外来患者を診なければいけません。

僕が初期研修をしていた病院での当直では、毎晩ひっきりなしに患者が運ばれてきて「気がついたら朝……」なんていうこともザラでした。

(しかも朝から次の日の夜までぶっ続け勤務という辛さ)

けれどもそれとは対照的に、「一度も呼ばれずにぐっすり寝ているだけ」という当直のお仕事もあるんです。

これは「寝当直」と巷では呼ばれています。

精神科に寝当直が多い理由

実は精神病院の当直では、「寝当直」が非常に多いです。

というのも、精神病院に入院しているのは、基本的には身体的に安定している患者さんばかり。内科や外科などと違い、容体が不安定で急変したりする人も多くはありません。

また、精神科の救急診療をやっている病院は限られているため、夜間や休日の外来患者受け入れをしていない病院も数多くあります。

そうした理由から、精神科の日・当直は「一度も呼ばれない完全試合」となる可能性が高いのです。

病院にカンヅメ

精神科医である私は、毎月10回程度のこうした「寝当直・日直」バイトを行なっています。

特に休日当番である「日当直」は、朝から次の日までと非常に長く、多い時は丸2日近く病院にカンヅメにされることになります。

「ええっ、それって苦痛じゃないの?」そう思うかもしれません。

確かに休日に病院にこもりきりになるのは悲しいことですが、大事なことは「ほとんど呼ばれない」ということ。そして、「お金がもらえる」ということです。

当直バイトの相場はピンキリですが、少なくとも一晩3-4万円ほど。休日の日当直などでは、土日合わせて20万円近くを稼ぐこともあります。

しかもその間はほぼフリー。病院の当直室や医局の中で、有り余る自由時間を満喫しています。

 

自己研鑽=バイト?

当直中は、コールに応じさえすれば、常識の範囲内で何をしていても自由です。

ゴロゴロしてテレビを見ていても、友達と電話しててもいい。でも僕が意識してやっているのは、「自己研鑽に努める」ということです。

例えば、腹筋ローラーなどのトレーニング器具を持って行ってひたすら筋トレをしたり、オンライン英会話のレッスンを受けたり。こうしてブログを書いたりすることもあります。

フリーな休日は積極的に外出してレジャーを楽しむようにしながら、「勉強」「読書」「筋トレ」などの自己研鑽や「映画鑑賞」など、インドアでもできるようなことに関しては、日当直中にこなすようにしています。

そうすることで、「ネトフリ見てるだけで」「静かな部屋で勉強するだけで」「腕立てやってるだけで」時給1万円がもらえるという、誰もが羨むような美味しいバイトが誕生するのです。

こんな仕事、他にはそうそうないのではないでしょうか。

責任もつきまとう

当直医は、夜間や休日の病院を守る責任ある立場にあります。

患者さんの状態が悪化した場合は、すぐに駆けつけて対応しなければいけません。日中と違い、近くに相談できる人はいません。

何かあった場合、一人で考え、対処しなければならないハードな仕事でもあるのです。もちろん、命を守るという責任は重いものです。

そして、寝ている時でもお風呂に入っている時でも、何かあったらすぐに駆けつけなければいけない緊張感も常にあります。

精神病院とはいえ、患者さんの状態が急変して初期対応・転院搬送する必要があったり、心肺蘇生が必要になるなど、身体的な知識や技術が求められる機会も多いです。

精神科は「身体のことは何も診れない」と思われがちですが、単科病院で働く場合は、医師として総合的な能力が求められることになります。

それでも寝当直は楽しい

色々と大変なところもありますが、多くの場合精神病院の当直・日直は平和です。こうして僕がブログを書いている間も、グッスリ寝ている間も、どんどん時給が発生していくのです。

研修医の時は、ボロ雑巾のように不眠不休で働いていたのに、「ホントにいいの?」とすら思ってしまいます。

お金をもらいながら、自分の趣味や勉強を楽しむ。そんな他ではなかなかない働き方が実現できるのが、精神科の良いところだと僕は思います。

また、通常の勤務に関しても、基本的には9時-17時の規則正しい勤務になることが多いです。

医師としての仕事は頑張りつつも、他の人生の目標も達成したい。そういう人にとっては最高の勤務環境だと思います。

これから医師を目指す方、医学生や研修医の方は、ぜひ精神科医療の門を叩いてみてください。

 

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Dr.974

神奈川県出身の20代精神科医。「クリエイティブに生きる」をモットーに、サイト運営・小説執筆・写真など、種々の創作活動をしています。 海が好きで、休日は海沿いの温泉街に行くのが生きがい。お気に入りの町は熱海。

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