1級受験を申し込む
前回記事(下にリンク)に引き続き、第5回です。
【英語学習法】非帰国子女の高校生が独学で英検1級を取得した話〈第4回 魔法の単語帳に出会う〉
塾の先生にそそのかされ、ついに1級を受けることになった中学3年生の私。
英検1級といえば、英語学習者なら誰もが知る検定試験の最上位。ドラクエでいえば、ロンダルキアの険しい山中で待ち受ける諸悪の支配者、最強のボスキャラのような存在でした。
そんなボスキャラに対して、ついに悪魔に身を売り渡すような気持ちで受験申し込みを提出した私。
そして目の前にあるのは、先生から渡された一冊の単語帳でした。
私はさっそくそれを手に取り、開いてみました。
1級のレベルの差に愕然
単語すら歯が立たない
意気揚々と単語帳を開いてみたはいいものの、口をあんぐりと開ける他はありませんでした。
というのも、単語帳にある単語の8割近くが、見たことのない単語だったから。「DUO」で語彙を築きあげ、「ターゲット」などの単語帳でも補強工事をした私の語彙。2級や準1級を受験した際でも、単語で困ることはそうそうありませんでした。
しかし、それをあざ笑うかのように、目の前には未知の単語たちが並んでいました。
圧倒的な英語運用力が試される
さらに、過去問をぱらりとめくってみた私は、ここでも愕然としました。
一問も分からない単語穴埋め問題(空所補充)に加えて、その後の長文問題ゾーンに広がるのは活字の海。新聞記事のような1000ワード級の長文が見開きの埋め尽くしているではありませんか。
リスニングを聞いてみると、今度は途切れることのない長文リスニング。最後の問題ブロックでは、5分近く文章が流れるのですが、あまりに分からなすぎて睡魔に襲われるほどでした。
さらに、1級には数百ワードのトピック英作文もあり、ライティング力も必須。まさにあらゆる分野での運用力が試されると感じました。
付け焼き刃、折れる
今までは、単語を覚えたり例文を丸暗記して、何となくの勉強をゴリ押しして級を突破してきた私。
ドラクエで言ってみれば、やっすい「どうのつるぎ」を叩いて直して、なんとか必死で戦ってきたのです。
しかし、今回の相手はそれでは到底かなわない相手。
うかつに足を踏み込めば生きて帰れないような、魔界に足を踏み入れてしまったのでした。
まず、単語すら覚えられない
単語は何より大事、と豪語しただけあって、さっそく単語集を暗記し始めた私。付属のCDを駆使し、いつも通りの音読勉強法で学習を開始しました。
しかし、いつまでたっても進捗がありませんでした。というのも、単語のレベルが難しすぎたから。
正直言って、普段使わない様な難単語を覚えようとしても、スムーズに頭に入ってくるわけが無いのです。
例えば“embargo”という単語。
「船舶の出入港を禁止する」「禁輸」という意味、つまり通商禁止をするという意味の単語です。
「船舶の出入港を禁止する」なんて単語、果たして使うことがあるのか?疑問符が頭の中に溢れます・
“endorse”という単語が出てきたとき、ついに私の頭は限界を迎えます。
「(小切手などを)裏書きする」といった意味があります。『「小切手」なんて見たコトも使ったコトもないのに、「裏書きする」ってどういうことや!』
苛立ちのあまり、私は大切な単語帳を壁に投げつけてしまいました。(※表現上の演出です)
自分に馴染みがないことを覚えるほど苦痛なことはありません。そんなわけで、私は1級受験に対して良いモチベーションを持つこともできず、学習は難航。
「ホントに受ける価値があるんだろうか……?」
そんな疑問符に押しつぶされそうになっていました。
ついに試験の日
そうこうしているうちに、あっという間に高校生になり、第1回の英検受験日がやってきました。
単語も長文読解もライティングも、すべてが物足りない準備の中で挑んだ英検1級。
試験直前になり、さすがに追い込みをかけていたものの、合格するかは微妙なライン。
過去問を解いて採点してみても、大体ボーダー周辺の得点しか出せませんでした。
ともかくも、憧れだった英検1級受験に挑戦できたことは、一つの大きな前進だったかもしれません。
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