帰国~一次試験
前回の記事では、米国に短期留学し、自分のレベルの低さを痛感した話と、エッセイライティングの基礎を学んだ話をしました。
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その後、一念発起した私は、1級の1次試験リベンジを目指し、勉強を開始しました。
その為にまず始めたのは単語力の増強。
前回の受験ではうろ覚えのまま試験に臨み、難単語が勢ぞろいする単語補充問題で壊滅してしまったからです。
どうやって覚えたか?
ところが1500語ほどの単語が載った1級用の英単語の本のうち、覚えていたのは半分以下。
最初の受験の時に一生懸命覚えたつもりでしたが、全然覚えられていないというのが現実でした。
あまりに覚えられないので、定番のCD音読や、ゴロ合わせ、毎日単語集とにらめっこ。ありとあらゆる手段を尽くしましたが、全然覚えられる気配がありません。
しまいには楽天で「アンキパン」を探しましたが、どの店舗も在庫切れ。なかなか手に入れることができません。(最初から売ってねえよ)
数か月で単熟語集・DUO(デュオ)を仕上げた時のペースとはまるで大違いで、すっかり困り果ててしまいました。
そこで、意を決して購入したのが、受験生がよく使っているイメージのある「単語カード」です。
(1個50円くらいなので、意を決するほどの買い物ではないですね)
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「テスト」することの大切さ
実は人間の記憶は、ある動作と組み合わせることで飛躍的にアップするといわれています。
その動作とは、多くの人に馴染みがあること。
例えば、「聴くこと」です。ただ目で見て覚えるより、「音を聴く」という外的刺激と組み合わせることで、記憶に定着しやすくなるようなのです。
多くの単語帳にCDが付いていて、「CDを聞いて覚えましょう」と売りにしているのもそれが一つの理由だといえます。
他には、実際に口に出してみる「音読」や、自分の手で紙に書いてアウトプットしてみる「筆記」など、五感、そして体をフルに活用した勉強は記憶に残りやすいのです。
しかし、もう一つ大切なのが「試行する」という作業。
これは、「赤シートで日本史の年号を覚える」という作業のように、実際にテストして、アウトプットの練習をする行為。
この行動も、記憶の定着に役立つと言われています。
「単語カード」はテストに便利
さて、多くの受験生が使っていることからわかるように、「単語カード」は迅速に知識をテストするのに非常に便利。
表に英語を書き、裏に日本語を書くだけで、シンプルにテストが出来ます。そしてひたすら繰り返し練習出来るので、覚える内容への露出(エクスポージャー)と試行(テスト)を無限に繰り返せるのです。
そこで私が乗り出したのは、わからなかった単語(1000語近くあった)をひたすら10冊の単語帳に書き写し、演習するという作業。
それを狂ったように、ただひたすら繰り返しめくっては単語を覚え、定着した単語は外し……と繰り返しました。
学校の休み時間にもテレビを見ているときも、山のような10冊の単語カードを傍らに置き、ひたすらめくり続ける日々。
今思うと、はたから見たら気の触れた人のように見えたでしょう。
実際、覚えた単語カードが1枚、1枚と減っていくたびに、親しくしてくれる友達も1人、また1人…と減っていったのでした。(減ってない)
「単語帳の鬼」作戦が成功
キチガイのようだった単語帳学習も、一か月ほど立つと、次第に単語カードの量が減っていきました。
そして最後の一枚が消え、残ったのはリングだけ。ついに全単語を制覇したのです。その感動はひとしおでした。
ついに1級に頻出する英単語1500語を、すべて覚えきったのです。
(ついでに友達もいなくなった)
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空所補充の成績が上昇
その甲斐あってか、過去問演習などでも単語の空所補充問題に出現する単語のカバー率が上昇。
それでも選択肢の中には知らない単語が並んでおり、「何だこれ?」という未知との邂逅があったことは確かですが、
「4択のどれも意味不明」から「2択のどっちか」くらいには絞れるくらいにはなりました。
すると必然的に空所補充問題の正答率が上がり、半分くらいだった成績が合格レベルの7、8割にまで上がるようになりました。
他の分野の成績もマシに
アメリカでの経験が身を結んだのか、他の分野でも1級の問題に恐れをなしてしまうことが少なくなりました。
その最たるものが長文読解やリスニング。
渡米前は、「こりゃ敵わない」と恐れをなしていた長大な英文読解や尽きることのない5分間の長文リスニング。
けれども、寮長さんの言っていることが分からず食事にありつけず、冷凍のハンバーガーをかじって生命を繋いでいた僕(第6回参照)からしてみれば、
「こんなの短い文も聞き取れなかったら、また冷凍チーズバーガー食う羽目になるぞ」と超強気に。
不必要な畏敬を抱くこともなくなり、攻めに転じることが出来たのです。
過去問では合格圏内に
その結果、受験直前に受けてみた過去問では、ライティングを抜きにした点数が十分合格圏内の得点率に上昇。(それでもギリギリですが)
ついに1次合格が見えてきました。
そして臨んだ運命のリベンジ。
結果は……
高校1年生で望んだ2回目の英検1級の1次試験。
手ごたえは微妙でしたが、届いた結果は待ち望んでいた「合格」でした。
残るは関門は2次の面接試験のみ。
中1で5級を取得してから3年半。高校1年生にして、ついに1級の合格が見えてきたのです。
「行けるかもしれない」
合格通知を手に、そんな儚い希望をつかんだ私。
しかしその先に待ち受けていたのは、長い長い茨の道でした。
第9回はこちら