小島とは
小島(おじま)とは、瀬戸内海の中央部、しまなみ海道が走る来島海峡に位置する愛媛県の小さな離島。しまなみサイクリングの起点として、多くのサイクリストが集う今治市に属します。
来島海峡には瀬戸内海に浮かぶ島々が街道のように並んでおり、生口島や伯方島など、名前が知られた島々が数多くあります。
小島はその名の通り、面積0.50km2、周囲3km、人口数十人ほどの小さな島。しまなみ海道を見渡す「来島海峡展望館」からも、その姿をはっきり認めることができます。(下写真・船の右側に見えるのが小島)
かつてこの芸予諸島周辺の海域は、日本最大の海賊と言われる村上水軍が制海権を握っていた地域。
優れた海上活動能力と文化水準を有し、瀬戸内海の治安維持を行っていたとされる村上水軍。今もこの地域には、彼らの末裔が多く住んでいるそうです。
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島に隠れた秘密
何の変哲も無さそうなのどかな離島ですが、実はこの島には、ある秘密があります。それは今から時を遡ること100年。日本とロシアが戦争を繰り広げた明治時代の話です。
日本が急激な近代化を遂げた1900年代初頭。アジアに触手を伸ばすロシアとの緊張状態が高まり、戦争の可能性が高まりました。ロシアと戦争をするにあたっては、ロシア海軍の進攻に備える必要がありました。
中国と四国に挟まれた交通の要衝、瀬戸内海。そんな重要海域に、勝手にロシア軍艦が侵入してきてはたまりません。そこで、日本は「芸予要塞」と呼ばれる要塞を島々に建設します。その一つがこの「小島」。実はもう一つは、うさぎの島としても知られる「大久野島」です。
しかし、実際に日本本土が攻撃を受けることはなく、これらの要塞がロシアと戦うことはありませんでした。
島への行き方
そんな小島へは、四国から橋で行くことはできません。造船所がある今治の港から、小さなフェリーで行く必要があります。
船は今治の「波止浜」港から出航します。
今治の中心部から造船所の一帯へ降りていくと、狭い道の先に港が現れます。
「波止浜」の港には駐車場やトイレを備えた小さな建物があります。
そこに設置された自動券売機でチケットを購入し、時間が来たら船員さんに渡します。
フェリーは来島、小島、馬島と、小さな島々を回って戻ってきますが、今回降りるのは2つ目の島。波止浜からは、船で10分ほど。運賃も往復で390円で、気軽に味わえる船旅です。
定員は20名ほどの小さなキャビン。地元の人や観光客など、ちらほらと乗客がいました。
造船所で建造されている巨大なコンテナ船やタンカーを間近に見ながら進みます。その迫力は圧倒的で、まさに大人の社会科見学。
航行すること10分。最初の寄港地である来島を出航すると、小島が近づいてきました。
あっという間に桟橋に到着しました。
桟橋を降りるとすぐ、国立公園の石版が姿を現します。
島の案内図と、観光案内もありました。
桟橋から、細い海沿いの道へ。少し歩くと、巨大な大砲が突然姿を表しました。
実はこの大砲、戦史オタクなら誰もが知る日本陸軍の「28センチ榴弾砲」。
日露戦争の際、旅順要塞の攻略の為に大軍を投入した日本軍ですが、近代要塞の圧倒的な火力と防禦力を前に死体の山を築きます。
その窮状を見かねた大本営は、日本本土で海岸砲として使われていたこの榴弾砲を取り外して旅順へ運び、戦場に設置。最大の激戦地、二〇三高地に大量の砲弾を撃ち込み、ついに攻略に成功するのです。
日露戦史ではしばしば語り草になるこの砲ですが、旅順へ送られた28センチ砲のなかには、ここ小島から送られたものもありました。島に展示されているのはNHKドラマ「坂の上の雲」撮影の為に再現されたレプリカだそうです。
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森の中へ
さらに歩を進めると、こんな案内板が現れました。
こちらは島にたくさんある要塞遺跡の一つ。夜間に航行する船舶を照らすサーチライトの跡です。
探照灯は今は残されていませんが、当時の煉瓦造りの施設が今も風化した状態で残っています。
まだまだ史跡はたくさんあり、地下兵舎や発電所跡、司令部跡など、レンガ作りの遺跡が次々と姿を表すはずです。
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しかし本日の観光はここで終了。
思いつきで船に乗ったはいいものの、まさかそんなに奥深いスポットとは知りませんでした。島への予定滞在時間はフェリーが戻ってくるまでの20分間しかなかったのです。
ちなみに、オススメされている散歩コースはこちら。
中途半端すぎて胸糞が悪いので、他の方が撮影した画像を探してみました。
永い時の重みを感じる美しいレンガ建築。プロフィール写真を撮ったりするのにも向いているかもしれませんね。
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普通の観光ルートには入らない小さな「小島」ですが、上陸してみると離島らしいのどかな雰囲気も楽しめます。
気軽に行けて、冒険気分も離島時間も満喫できる「小島」。レンガの遺跡は写真スポットにもなりますし、明治時代の遺跡に興味がない方でも十分楽しめるのではないかと思います。時間に余裕があれば、他の島々を巡ってみるのも面白いでしょう。
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