病院見学で気になるポイント
こんにちは。サイトオーナー・医師の974です。
今回の記事は、研修医マッチングで避けては通れない「病院見学」についてです。
病院見学に行った時、どんなポイントを確認し、どんな質問をすればいいのか。どのような点でハイパーやハイポかを見極めればいいのか。
疑問に思っている医学生の方は多いのではないでしょうか。
そこで、私が実際にマッチングを経験し、確認しておくべきだと思った点を10個挙げてみました。
結構QOLや待遇などのポイントが多いと思いますが、実はこれも結構大事なポイントだと思っています。研修強度がどれくらいかを知ることは非常に重要ですし、待遇や生活環境はモチベーションを保つ上で不可欠です。
下手にハイポすぎる病院を選んでしまい、医師として独り立ちできないのは論外ですし、行ってみたら超絶ブラックな地獄の研修だった!というのも困りますよね。
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しておくべき質問10つ
それでは早速、研修病院を見極めるために聞いておきたいと僕が思うポイントを10コ紹介してみます。
土日は休み?病院に来るか?
いきなりこんな質問を挙げたら「やる気あんのか?」と思われるかもしれませんが、これはスクリーニングとして重要な質問。
病院によって休日の出勤体制もまちまちで、科によっても異なるとは思いますが、ハイパー・ハイポを見極めるのに参考になります。
とある超絶ハイパー病院で働く友達は、数週間に1日しか休みがないと言っていましたし、逆に土日は完全オフという病院もあります。
ルール上は休みであっても、カルテや処置などの為に研修医が土日に顔を出さないといけない病院もあり、実際、土日に研修医たちがどのように働いているか質問すると良いでしょう。
僕は土日の日中を犠牲にしたくないので、土曜日の早朝と日曜日の夜遅くにカルテを書いて「土日どちらも様子をみに行って来ました!」と報告したりしていました。
あまりに奇妙な時間帯に出勤するので、後々夜勤の看護師さんに「不眠症のおじいちゃん」「白い服を着た幽霊」と陰口を叩かれていたことは、そっと伏せておきましょう。(言ってる)
何時に来て何時に帰れるか?
これは究極の質問。回る診療科によってもまちまちなのは当たり前ですが、病院によって残業を強いられるかどうかも大きく異なります。
それこそ9時5時に近い病院もあれば、一年中日の目を見ないで缶詰にされるところもあります。
一番分かりやすいのは、事実を見せてもらうこと。私は見学の学生さんが来ると、ひと月の出退勤時刻を記録した「勤務記録」を見せるようにしています。
大事なことだから言いますが、早く帰れるからといっていい病院であるとは限りませんし、夜遅くまで働くから偉いと言うわけでもありません。
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当直は何月から?一晩で何件対応?上級医のサポート体制は?
これは不安に満ちた学生にとってとても気になる点。
研修医生活の大きなハードルである当直業務ですが、これも病院によってピンキリ。1年目は当直なし、といった甘々病院から、オリエンの途中に早速救急外来に連行されるという病院もあったりします。
私の勝手な考えでは、当直業務を始めるのは早いに越したことはないと思います。どうせ出来ないのなら、甘えて先延ばしにするより、早い時期から洗礼を受けて成長する方がいいと思います。
けれども、それはあくまで教育体制がしっかりしていると言う条件の上での話。上級医がろくに指導してくれないのに、いきなり当直をさせられても患者さんを不幸にするだけです。研修医がファーストタッチをした後、どのように上級医の指導を仰ぎ、判断をしていくのかといった点は非常に重要です。
また、一晩に何件の患者さんを対応し、どんな患者さんが来るかも把握しておきたいポイント。一番良いのは、「どんな患者さんが、何人くらい来るんですか?」と聞いて、前日に夜間外来に来た患者さんのリストを見せてもらうことです。
当直明けは帰れるか?
これは病院選びのリトマス紙かもしれません。
働き方が健全な病院では、直明けは普通に帰ってOKな病院もありますが、そうでない病院もたくさんあるのが現状。
名目上は帰ってOKでも、暗黙の了解で翌日も当たり前のように業務を行なっているケースも多いので、注意が必要です。
最近はどんどん厳しくなっているので、当直明けに勤務をさせられる病院は減ってきているようです。
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どんな手技をこなせるか?頻度は?
「どんどん手技がこなせるよ」「手技の取り合いはないよ」と言った触れ込みは、あらゆる研修病院で目が腐るほど見かけます。
けれどもそれでは漠然としていて、何をどれくらいこなせるかが分かりません。
一番良いのが、実際に研修医がどんな手技をどんなレベルでこなせるのか確認することですが、見学の時間内では難しいでしょう。
いつ頃から、どのくらいの頻度でやらせて貰えるのか、具体的に聞いてみるといいと思います。
看護師さん・コメディカルの雰囲気はどうか?
ヒエラルキーの底辺に位置する研修医にとって、コメディカルの方々との連携は欠かせません。
看護師さんが優しくしてくれる病院もあれば、学生や研修医の事をストレスのはけ口としか思っていない看護師さんが沢山いる病院もありますよね。
4月、静脈路確保も採血も何にもできない状態で現場に放り込まれる研修医たち。そんな中、こっそりコツを教えて助けてくれたりするのはナースさんたちです。
いざ入職すれば、密接な連携の下で働くことになるのですから、医師と他医療職の関係性についてはぜひ聞いておきたい部分です。
緊急呼び出しはあるか?
QOLを大きく左右するのが緊急呼び出しの有無。病院によっては、研修医が地球上どこでも繋がるPHSを持たされ、何かあった際は怒涛のごとくファーストコールがかかってくる病院もあるそうです。
医師という仕事上、ベッドフリーの科でない限りは呼び出しをされることは止むを得ないと思いますが、実際に呼ばれることはあるのか、ファーストコールは指導医か研修医か?といった点を確認しておきましょう。
毎月の手取りはいくらか?
聞きにくい話ではありますが、一番気になるところがこれ。
もちろん募集要項にもお給料は書いてあると思いますが、それだけでは実際の手取りはわかりません。
ボーナスや時間外、当直代など、あらゆる要素が収入に影響してきます。いくら収入が高くても、寮の家賃が恐ろしく高かったら手元に残るお金は少なくなります。
必要経費を差し引いて、実際手元に入ってくるお金はいくらくらいか?というところまで踏み込んで聞くと、生活のイメージがつくと思います。
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研修医室はあるか?
僕は入職するまで「研修医室なんてあってどうするんだ」と思っていたのですが、実際に仕事をしてみてとても大事だと思ったのがこの項目。
空いた時間ができた時、当直明けで眠い時、仕事の愚痴を言いたい時。医局に研修医のスペースがあるだけの病院では、常に上の先生の視線に晒され、心が休まるときがありません。
研修医だけの部屋があると、ONとOFFのメリハリがはっきりしますし、暇なときに惰眠を貪っていても怒られません。
どれだけ意識が高くて真面目に研修をしている人でも、OFFの状態になりたい時は必ずあります。常に気を張っているのは疲れてしまうので、その点で研修医室の有無は重要ポイントと言えるでしょう。
研修医寮はあるか?綺麗か?
QOLの話ばかりになってしまいましたが、生活の大きなウェイトを占める住居の話。
忙しい研修生活では、自宅でゴロゴロと過ごす時間は少ないとは思いますが、住む場所というのは生活の室を大きく左右します。
多くの病院が研修医向けの寮を用意していますが、バス・トイレ一緒のオンボロアパートを提供する所もあれば、新築ピカピカのアパートを借り上げている病院もあります。
見学で寮を見せてくれる病院は少ないと思いますが、実際に研修医に話を聞くことはできると思います。ぜひチェックしておきましょう。
おまけ:食堂はどうか?
どうでもいい話かもしれませんが、案外バカにできないのが食堂について。
「腹が減っては戦は出来ぬ」とはよく言ったもので、美味しいご飯を食べることは人間の活力や幸せを大きく左右します。
仕事が始まると、基本的に日中の楽しみといえばお昼ご飯くらい。食堂の料理の価格やクオリティが良ければ、それだけで毎日の仕事に張り合いが出てきます。
私の病院では朝昼晩、非常にお手頃な価格で美味しい食事が食べられるのですが、これは経済的にも非常に助かります。家でご飯を作らずとも、安くて美味しい朝ごはんや夜ご飯が食べられるので、食費の心配がいらないんです。
見学に行ったら食堂に連れて行ってくれることが多いと思いますが、ぜひ、味や雰囲気、営業時間などをチェックしてみてください。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
病院選びについて聞いておきたいポイントを、かなりQOL重視でまとめてみました。
冒頭部でも言いましたが、今回紹介した待遇・働き方などのポイントを吟味して病院を選ぶことは、「研修を不真面目にやる」ということと同義ではありません。
例えば「当直明けに帰れるか」という質問。今のご時世、それが当たり前になってきているのかもしれませんが、「帰れる」ということが自分にとって本当にメリットかどうかはわかりません。
「当直明けに帰れない」病院で働く研修医は、「帰れる」病院で働く研修医が直明けに寝ている間にも成長しているかもしれません。
「直明けは何にもせず帰って、土日は完全オフで、平日はみんなで研修医室でごろごろしてる」という病院は、一見天国のように思えるかもしれませんが、「そこまでハイポな病院に行ってはまずい」という風に考えることもできます。
今回紹介したポイントはあくまでリトマス紙のようなものと考え、自分の追い求める理想の研修病院選びの参考にしてもらえたら幸いです。
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