はじめに
この記事について
独学を交えた合宿講習で小型船舶免許1級を取得した方法を説明してみます!
こんにちは。ブログ「TOKYO STORY」オーナーの974(@Tokyostory_blog)です。
僕は先日、海への憧れが高じて小型船舶免許(いわゆるボート免許)を取得してみました。
思っていたより簡単に取れたので、是非方法を紹介してみたいと思い、この記事を書きました。
船舶免許を取得してみたいと考えている方、独学が不安な方はもちろん、それ以外の方にも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
挑戦の経緯
僕はもともと、海や空といった広い世界に憧れていました。船や飛行機など、乗り物に乗ってそんな世界を自由に駆け巡ることができたら……。というのが、少年の頃からの僕の夢でした。
中でも、大海原を疾走する船のかっこよさは格別。港で大きな船を見たり、マリーナに停泊するクルーザーを見る度に「いつか自分も操縦して、広い海原へ船出したい!」と思っていました。
けれども、僕は船乗りでもないし、自分でクルーザーを買うようなお金持ちでもない。ボートを操縦することなんて、遠い世界の話だと思っていました。
そんなある日、雑誌の一ページで見つけた小型船舶免許取得の広告。そこには10万円程度という費用で、数日で船舶免許が取れると書いてありました。
「これなら取れるかもしれない!」私はそんな期待を胸に、ボート免許を取得する作戦を立て始めたのです。
クルージングは意外と敷居が低い
とはいえ、ボートを乗り回すなんてやっぱり敷居が高そう。クルージングといえば、何千万もするボートや高額なマリーナの係留代など、「大金持ちの道楽」のイメージがあります。
しかし、実は思ったより身近に楽しめるのはご存知でしょうか?
確かに、豪華なサロンクルーザーを購入・維持するためには多額の費用がかかりますが、ボートの世界はそれだけではありません。実はボートを購入しなくても、レンタカーのようにボートを借りてクルージングを楽しめる「ボートレンタル」サービスというものが普及しつつあるのです。
そんなレンタルサービス人気の火付け役となったのが、ヤマハの提供する会員制ボートクラブ「シースタイル」。 月3,000円程度の月会費を支払うことで、1回およそ4,400円〜くらいのお手軽な費用でボートをレンタルすることができます。
それも、シースタイル艇が配備されたマリーナは文字通り全国「津々浦々」にあり、様々な場所で利用できるのも魅力。何人かで割り勘すれば、飲み会1回分くらいの出費でクルージングやフィッシングを楽しめます。
こうしたサービスのおかげで、今やクルージングは貴族だけの遊びではなくなりつつあるのです。
小型船舶免許とは
そもそも小型船舶免許とは、プレジャーボートやクルーザーなどといった小型船舶の操縦に必要な資格のことです。
2級と1級があり、どちらも20トン・24m未満の船を操縦できますが、2級では海岸から5海里まで、さらに1級があれば外洋航海ができるので、世界の7つの海を旅することができるという夢のあるライセンスです(※外洋航海には種々の条件あり)。
取得方法
そんな小型船舶免許の資格はどうやって取るのでしょうか。簡単にいうと、国家試験に合格すれば取ることができます。
試験は、学科試験・実技試験があり、航行や船に関する基本的な知識が問われる学科試験、そして実際に実地で技術を問われるのが実技試験といった構成です。
実技試験では、船の点検やロープワークはもちろん、離岸・着岸や航行などの基本的なスキルを試されます。
この試験、合格率は9割以上と言われていて、決して難しい試験ではありません。
特に2級の学科試験などは、車の免許の学科試験のような程度のレベルと考えていいでしょう。1級になると、よりハイレベルな海図の問題や機関の知識などが問われます。
しかし問題は実技試験。ボートを操縦したことのある人などそうそういないわけで、素人がいきなり実技試験を受けるのは難しいでしょう。
大抵の人はライセンススクールに通い、3日〜1週間程度で学科の講習と実技の講習を受け、試験を受けるというパターンが多いようです。費用は、10万円程度が相場のようです。
僕が参加した「1級学科独学」コース
でも、船舶免許の取得に10万円もかけたくないし、3日間も休みを消費したくない。もっと早く簡単に取得できる方法はないのか……。
そう考えている時に見つけたのが、「ベルソンボートライセンススクール」という教習所のウェブサイト。なんとこの教習所では、2日間で1級免許を取得できるコースがあるのです。
そのスクールが開催している「スペシャルチャレンジコース」では、1日目に山中湖で実技講習、2日目は学科試験と実技試験という強行軍で免許を取得します。
「あれ?学科講習はどこ行ったの?」とお思いでしょうか。学科講習はありません。全て独学です。その代わり、費用も8万円前後と超格安で、ボート免許取得界でもトップクラスの安さと取得期間の短さを誇ります。
申込から勉強開始まで
早速ベルソンのホームページで申込書を記入し、スペシャルチャレンジコースへの参加を申し込んだ僕。しばらくして、僕の家に段ボールが届きました。
その中身は、学科試験のテキストや問題集、実技試験の予習用DVD、練習用のロープなど、船舶免許試験のための学習教材です。僕は早速、問題集を解き始めました。
解きはじめてみると、これが結構楽しい。船は右側通行だとか、エンジンの仕組みや航路についてだとか、それまでまったく気にしていなかった知識がどんどん開けていきます。
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学科試験の難易度
1級の学科試験は、2級、1級に共通した「一般科目」の問題(選択肢4つから1つを選ぶ形式が50問)と、1級に必要な「上級科目」の14問があり、合計64問の試験になります。
一般科目の50問の試験に関しては、いわば「過去問ゲー」。出題される問題のほとんどは問題集と同じで、合格基準はたったの33/50点。
「この中で誤っているのはどれか」「近くに泳いでる人がいたのでエンジン全開で近くを航行した」「はい、バァァツ!」みたいな、笑ってしまうような常識問題も多いため、独学でも余裕で合格できます。
小型船舶免許の学科試験合格基準
一級試験の各科目合計は、一般科目と上級科目のそれぞれについて行います。一般科目は33問以上、上級科目は10問以上の正解が必要で、そのどちらも満たして合格となります。
出典 https://www.jmra.or.jp/license/license-examination
ただし、ちょっと厄介なのは1級の学科試験。上級科目の14問には、実際にコンパスや定規で航路を計算する海図問題や、天気の問題、エンジンの問題など、より高度な知識を問う問題が出題されます。
海図問題の作業は、いわゆる船乗りのイメージそのもの。三角定規を使って海図に航路を書き込み、速力や方位などを計算するのです。正しく製図を行うためには、製図用のコンパスや定規などを用意する必要があります。
「難関」とも噂されるこの製図問題ですが、そこまで難しいわけではありません。出題されるのは大まかに言って3パターン。
「航海の行程・距離を求める問題」、「目標物の方角から、船の現在位置を求める問題」、「潮流などを考慮して、航路や速力を求める問題」の3つで、回答は選択肢の中から選ぶ形式になっています。各分野についていくつかバリエーションはありますが、しっかり過去問さえやっていれば十分に理解できるレベルになります。
ただし、製図問題はわずかなズレでも誤答に繋がってしまうので、精密に製図をすることが必要です。上級科目は10問以上の正解が必要なので、海図問題を落としてしまうと合格は遠ざかってしまいます。
他には内燃機関の問題や、天気図の問題が出題されます。ただし試験問題は基本的には過去と同様のものが出題されるので、教科書を読み、過去問をしっかり理解しておけば十分に正解することができます。海図問題に関しては数字が変わるので、過去問の丸暗記は意味がありません。
いずれにせよ、ある程度の勉強期間さえ用意すれば、独学でも十分に合格可能な試験であると僕は思います。
わからないことがあれば、インターネットで質問したりスクールに問い合わせてみるのも手でしょう。僕が利用したベルソンさんでは、「独学でわからないことがあれば、事務所に来ていただければお教えします」と言ってくれたので安心でした。
実技講習を受けてみた
そしていよいよやってきた河口湖合宿。僕は勉強用のテキストを手に、晴天の河口湖へ向かいました。
凍えるほど寒い3月の河口湖。集合場所の桟橋には、練習用の小型艇が着岸していました。晴れ渡った河口湖の湖面は静かに凪ぎ、講習にはまさに絶好の日和。初めての体験に胸が躍ります。
集合を済ませると、早速「乗り込んでください」と先生が案内してくれます。一緒に講習を受ける受講生たちと一緒に、ボートに分乗します。
離岸すると、いきなり先生が僕を指名して言いました。
「じゃあ、君から操縦してみようか」
「えぇぇ!いきなり!」
僕は戸惑いながらも操縦席に座り、ハンドルを握ります。
「前方よぉーし!発進します!」
恐る恐るスロットルレバーを押し込むと、ボート小気味良いエンジン音を高鳴らせ、水面を滑るように走り始めました。
風が耳元でビュンビュンと鳴り、景色が飛ぶように過ぎていきます。
「すごい!気持ちいい!」
それまでの緊張など吹っ飛んでしまうような爽快感に、僕は思わず笑みを隠せませんでした。
みんな始めての操船に緊張を隠せませんが、教官の丁寧な指導の下、発進から人命救助、離着岸など、実技試験で問われる重要項目を実践していきます。
クランクやS字などがある自動車の道路と違い、船が舞台とするのは大海原や広大な湖。広い水面を自由に航行するのは、意外と難しくありません。素人でも、曲がる、走るといった操作は簡単です。
しかし、海や湖川には風や波、潮の流れといった自然の摂理が働くので、車のように簡単にいかないことがあるのも事実。気がついたら流されてしまったり、波に揉まれて危機に陥ることもあるわけです。
感覚を身につけるために練習を重ね、少しずつ操縦に慣れていきます。
陸に上がった後はロープワークや点検の練習。この辺りの項目は試験のみならず、実際に船を運航するにあたって非常に重要なので、みな熱心に聞き入っていました。ロープでは舫結びや錨結びなど、いろいろな結び方があり、覚えるのに結構苦労しました。
広い海を航行する船にとって、もっとも怖いものの1つが故障。大海原の上でエンジンが掛からなくなったらどうでしょうか。船はそのまま潮に流され、漂流してしまいます。沖に出れば携帯も繋がりませんし、捜索や救助にも時間がかかります。それは最悪の場合、死を意味するのです。
ですから、発進する前にしっかりとエンジンや備品を点検し、壊れた場合にも原因を突き止め、自分で対応できる力が必要。そのために、船体やエンジン、備品の点検を問う項目は大切なのです。
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いざ!試験!
合宿2日目。ついに試験の日がやってきました。
実技試験
まず、午前中は実技試験。外部からの試験員を会場に招き、初日と同じボートでの試験となりました。緊張はしますが、オブザーバーとして教習所の先生が見守ってくれているし、前日に実技講習をして見知った会場なので安心です。
不安が残る中、イメトレの記憶だけを頼りに操船していきます。安全確認だけには気を付けて、操船項目をクリアしていきました。
「前方よーし!」
「右旋回します!」
「前部6インチ砲、撃ち方始め!」(言ってない)
運転免許の試験同様、わざとらしく宣言して操縦をこなしていきます。
僕は着岸ですこしミスがあったり、蛇行の最後で目標に直進し忘れてしまったりと、すこし間違えてしまうことがありましたが、全体的に致命的な失敗はなかったように感じます。ミスはつき物ですから、あまり気にしないことが大事ですね。
ベルソンの公式サイトを見ると、合格率は95パーセントくらいだそう。安全確認をすっぽかしたり、人命救助や着岸がどちらもできなかったりなど、相当なミスをしなければ不合格になることは少ないようです。
学科試験
用意された学科試験会場に移動し、身体検査と学科試験を行います。
身体検査といっても簡単なもので、受験番号が呼ばれるので、試験員のそばに行って視力や色覚などの検査を受けます。
学科試験は1級・2級を合わせて140分。ココでの注意点は、「本番は初見問題が出題される」ということ。前日に受けた模擬試験は全て過去問でしたが、本番は数問の初見問題が出題されます。2級の場合はある程度点数に余裕があり、初見問題の割合も多くはないので、過去問さえちゃんとしておけば大丈夫です。
しかし私が受けた1級の問題では、初見問題2問が出題されており、その割合は14問中2問。3問の海図問題を除いて、後の9問は過去問まるまるでした。
上級科目は10点以上が必要なので、3つの海図問題でたくさん点を落としてしまうと、もし初見問題ができなかった場合に不合格になってしまう可能性があります。
とはいえ私が解いた初見問題は過去問の改変や、基本的な知識があれば十分に対応できるものでした。しかも、初見と海図の配点が5点という事は、逆に考えれば過去問だけで9問取れるわけです。
要するに、問題集・教本の演習をしっかりしておけば、1級学科の合格は決して難しくないということです。
試験後、教習所の方が解答速報を見せてくれました。自己採点してみると……
1級学科14/14点 2級学科49/50点
心配だった1級の学科は満点でしたが、まさかの2級の初見問題で失点してしまいました。悔しいですね……。
とにかく、これだけあれば学科は大丈夫そうです。
無事合格!船乗りに
合格発表は次の木曜日(祝日の場合は金曜日)の朝10時。免許機関のWebページ上で、試験の結果発表がありました。
結果は見事合格。後日、念願の小型船舶操縦免許証が送られてきました。
ついに、これで船乗りの仲間入り。七つの海を制覇する(?)ライセンスを手に入れた高揚感に、しばし恍惚としていました。
取ってみた感想
実際に学科を独学してみて思ったことは、「思っていたより簡単だな」ということ。実質、わずか2日間で憧れの免許が撮れてしまいました。
確かに、1級の独学にはある程度の勉強時間や労力はかかりましたが、それも数週間問題集に取り組んだ程度。イヤイヤやらされる試験勉強とは違って、自分で取りたいと思っていた資格の勉強なので、勉強しながらも常に心はワクワクしていました。2級の場合はほとんど過去問ゲーなので、学科試験は独学でも十分でしょう。
実技に関しても、基準は決して厳しくはありません。しっかりと実技講習さえ受けていれば、十分に合格できる試験です。船舶免許試験の受験者のうち、9割以上の受験者が合格しているという事実も、それを証明しています。
時々、費用を節約するために「実技はDVDで予習して独学で受験する!」という人もいるようですが、これに関してはあまりおすすめできません。
努力次第では不可能ではないとは思いますが、実技講習とセットで試験を受ける方が圧倒的に楽だと思うからです。やはり実際に操縦してみないとわからないことも多いですし、そうした受験者は不合格になる率も高いと先生が言っていました。
早速船出してみた
船舶免許を取得した記念に、早速レンタルボートを利用してクルージングに出かけてみました。
慣れ親しんだ横浜の街も、海の上からだと全く違う景色に見えました。使い道もよくわからずに取った船舶免許でしたが、これまで知らなかった新しい世界を知ることができたのは大きな収穫だったと思っています。
クルージングの世界に興味をもたれた方は、是非こちらの記事も読んでみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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