箱根の楽しみ方
神奈川県が誇る温泉観光地、箱根。
開湯は奈良時代に遡るというこの歴史ある温泉地は、箱根七湯を始めとして、豊富な種類の源泉が湧き出ています。
風格ある温泉旅館が立ち並ぶ川沿いの街並みや、大涌谷・小涌谷などの美しい自然景観。
都心から1時間半でアクセスできる手軽さも相まって、箱根は日本で最も人気のある温泉地として多くの人々を魅了してきました。
今回紹介するのは、そんな温泉地・箱根の静かな森の中にある温泉施設「天山湯治郷」。
まさに「大人の隠れ家」と呼ぶに相応しい、心安らぐスポットです。
この記事では、本当は教えたくない箱根の隠れ家的温泉スポット「天山湯治郷」へご案内します。
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「天山湯治郷」とは
川沿いに旅館や土産物店が立ち並び、多くの観光客で賑わう箱根湯本の駅前。
そこから旧東海道へと抜け、狭い道を走ること数分。箱根新道と伴走する旧東海道の坂道の途中、須雲川のほとりに「天山湯治郷」はあります。
まるで一つの集落のように、渓谷に立ち並んだ瓦屋根の建物たち。その姿こそが、天山湯治郷の全貌です。
「天山湯治郷」の施設
「天山湯治郷」とは、「湯治郷」という名の示す通り、「湯治のための温浴施設の集まり」。天山は、以下の4つの施設からなる温泉郷なのです。
天山の施設
- ひがな湯治 天山:多彩な入浴施設、飲食施設、休憩所などを備えた日帰り温泉
- かよい湯治 一休:シンプルで、いかにも「湯治場」といった雰囲気の日帰り温泉
- 逗留湯治 羽衣:連泊からのみ宿泊可能な湯治施設
- じねん蕎麦 すくも:温泉水を使った手打ちそば
日帰り温泉が楽しめる「天山」や「一休」だけでなく、バラエティに富んだ飲食施設や、宿泊して本格的な湯治が可能な宿泊施設「羽衣」を備えているのが、「天山湯治郷」の特徴です。
多彩な施設を備えた「天山」
ここ、天山湯治郷のメイン施設と言えるのが、日帰り利用のための様々な施設が揃った「ひがな湯治 天山」。
天山湯治郷を初めて訪れる方はまず、この「天山」を訪れることをお勧めします。
駐車場で車を止め、「天山」の入り口で待ち受けているのは、伝統ある旅館のような重厚な門構え。暖簾をくぐると、どこか懐かしい蚊取り線香の香りが漂ってきます。
その雰囲気は、まさに深山幽谷にたたずむ「大人の隠れ家」。東京から車を飛ばしてやってくると、ついさっきまで都心にいた事が嘘のように思えてきます。
この「天山」には、日帰り利用のできる温泉施設をはじめとして、休憩所、2つのレストラン、カフェなど、様々な施設が備わっています。
自慢の「野天風呂」は源泉掛け流し
「天山」の天然温泉大浴場は、すべてが野天。屋外にあります。
周りを取り囲むのは渓谷の深い緑。木漏れ日が差し込む中、遠い山奥の湯治場に来たかのような錯覚に陥ります。
渾々と湧き出る豊富な湯に浸かりながら、木々のささやきに耳をすませば、日常から解放されたひと時を過ごせます。
岩風呂、あつ湯、ぬる湯、上がり湯など、温泉浴槽だけでも様々な種類があるほか、温泉の蒸気を利用した天然サウナ、水風呂などもあります。
「天山」こだわりの新鮮な源泉掛け流しの湯。上がった後は芯から体が温まり、真冬でもしばらく汗ばむほどです。それもそのはず、天山湯治郷の広大な敷地には7本ほどの自家源泉が湧出し、お風呂は全て源泉掛け流し。
新鮮さにこだわったお湯だからこそ、気持ち良さも段違いなのです。
湯上りは休憩所へ
風呂上り。団扇で仰ぎながら向かう先は、橋を渡った離れにある休憩どころ「ざしきぼっこ」。「ざしきぼっこ」は、須雲川のせせらぎを聞きながらくつろげる休憩スペースです。
コーヒーを飲みながら、のんびり読書なんかいかがでしょうか。
食事処で滋養をチャージ
また、食事処として、温泉しゃぶしゃぶなどの鍋料理が楽しめる「楽天」、素材の味の活きた滋養料理を味わう「山法師」があり、空いたお腹を満たすことが出来ます。
「山法師」で食事の際は、バランスよい献立の「山法師ごはん」(1600円)がオススメです。
貸切風呂は?
天山には、いわゆる「貸切風呂」と呼ばれる湯船はありません。
しかし、貸座敷「離れ雲」(有料)を利用すると、通常客が入れない「奥の湯」(男女別)に浸かることが出来ます。
天山の営業時間・料金
営業情報
入館料 大人 1,300円(入湯税・消費税込)
子供 650円(入湯税・消費税込)入館受付 朝9時~夜10時 閉館11時 定休日 なし(但し12月中旬5日程度休館) お電話 0460-86-4126 出典: 天山湯治郷
クーポン・回数券
天山にはクーポンなどはありませんが、お得に利用できる回数券があります。
天山木札(源泉かよい札)22回 17,000円(773円/回)
天山回数券・12枚綴り 10,000円(833円/回)
おすすめは、本物の木でできた「源泉かよい札」。こちらは回数券とは違い、木でできた札に刻印してもらうという趣のある回数券(札?)となっています。
普通に利用するより断然お得なので、こちらはぜひオススメしたいです。
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湯治場の雰囲気を味わうなら「一休」
つづいてご紹介するのが、「かよい湯治」をコンセプトにする「一休」です。
この「一休」、「天山」と同様、日帰り温泉を楽しめる施設です。
しかし、「天山」とは決定的に違う点は「湯治」という目的にフォーカスを絞っていること。「一休」には食事や休憩所などの設備はなく、「湯船だけ」の施設なのです。
「浸かるだけ」は極上の贅沢
樽風呂にひたひたと溢れる新鮮なお湯。箱根の雄大な山々を眺めながら、湯船に浸かります。
目を閉じると、川のせせらぎや木々のささやき、鳥の鳴き声が聞こえてきます。
内容こそ質素で簡潔なこの「一休」。しかし、ゆったりと湯だけを味わう時間は、この上ない贅沢。日常からエスケープするには絶好の場所なのかもしれません。
「はしご湯券」で湯巡り
どちらも違った良さのある「天山」と「一休」。どちらも楽しみたいという欲張りの方には、朗報があります。
平日に限り、「はしご湯券」(300円)を購入すれば、「天山」との湯めぐりを楽しむこともできます。
一休の営業情報・料金
営業情報
入館料 大人 1,100円(入湯税・消費税込)
子供 650円(入湯税・消費税込) 1歳から小学生まで営業
時間平日: am11:00~20:00 (19:00受付終了) 土・日・祭: am11:00~21:00 (20:00受付終了) 定休日 毎週木曜日 お電話 0460-85-8819
逗留湯治「羽衣」
「湯治郷」を名乗るだけあって、ここ天山には湯治用の宿泊施設があります。
その名も「逗留湯治 羽衣」です。
連泊からのみ利用することのできる「羽衣」は、わずか8室のささやかな宿。
野菜や玄米中心の食事を楽しみながら、浮世離れした逗留湯治を日すがら楽しむことが出来る場所です。
羽衣の営業時間・宿泊料金
営業情報
チェックイン 3時 チェックアウト 11時 宿泊料金 1泊目9,000円(税別)
2泊目8,000円(税別)
3泊目7,000円(税別)
(朝食付 連泊からのお引き受け)
・4泊目からは1泊目料金に
・ご希望で夕食1,800円(税別)定休日 木曜日 駐車場 7台 お電話 0460-85-3926
じねん蕎麦 すくも
須雲川のせせらぎを聞きながら、手打ちそばを楽しめるお蕎麦屋さん。苔むした道を分け入ったところにある、こじんまりとしたお店です。
温泉水を使った手打ちざるそば(780円)は、シンプルながら絶品です。また、とろろそばや鴨南蛮そばもオススメ。
お風呂上がりの体に、優しい蕎麦の味はぴったりです。
営業時間
11:30~17:00(16:30 LO)
定休日
毎週木曜日と
毎月2回目・4回目の金曜日の月6日出典 天山湯治郷HP
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「天山湯治郷」利用の注意点
- 備え付きのシャンプー類は必要最低限
天山湯治郷では、温泉の恵みに感謝し、その自然環境を守るということを大事にしています。ですから、用意されたシャンプーや石鹸は自然に優しいシンプルなものだけ。コンディショナーも、髪質を整えるためのクエン酸だけという徹底ぶりです。
そのため、通常のシャンプーと比べて使用感はあまりよくありません。
ですが、それも、川などの自然環境を守るためです。お気に入りのシャンプー類を持ち込むのもいいですが、自然に囲まれた環境の中、不便さを楽しんではいかがでしょうか。
- 入れ墨をした利用者もいる
天山では、外国人の利用者も多く訪れることもあって、入れ墨・タトゥーをした方の利用を禁止していません。
その為、刺青をした日本人の利用者も時々見かけます。(威圧感を与えないため、必ず「群れず」に一人で楽しむようにというルールになっています)
始めてきた方は、びっくりするかもしれませんし、ちょっと怖いのは確かです。
しかし、お風呂はみんなで平和に楽しむ場所。いままで何度も利用してきましたが、とくにトラブルには遭遇したことはありません。安心してお楽しみください。
週末の混雑について
首都圏に住んでいれば、平日の夜に日帰りでも利用可能な「天山湯治郷」。
しかし、ゆっくりと楽しみたいならば週末の日中に訪れたいという方が多い事でしょう。
雰囲気こそ隠れ家的ですが、「天山湯治郷」は箱根でも有数の人気日帰り温泉スポット。土日はかなり多くの人が訪れます。
特に「天山」はレストランなども併設しているため、多くの人で賑わいます。日帰り温泉をゆっくり楽しみたいという方は、湯船しかない「一休」の方に行ってみるのも賢明でしょう。場合にもよりますが、こちらは比較的空いていることが多い気がします。
まとめ
ご紹介したように、「天山湯治郷」は「湯治」をテーマにした温泉テーマパーク。深い自然に抱かれて、極上のひと時を過ごすことが出来ます。
関東には、日帰り温泉施設は山ほどありますが、どこか懐かしさの漂う「天山」は、他にはない雰囲気を味わえることのできる関東屈指の日帰り温泉だと思います。
平日の夕方からでも十分に楽しめる距離にある「天山湯治郷」。週末に、仕事終わりに、皆さんもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。